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海外学校教育視察
海外学校教育視察

グローバルな視野をもって学ぶ

帝京大学教職研究科では、2016年度より、海外の学校教育を実際に訪問?調査し、実学を通して学ぶ機会を得るための科目「海外学校教育実地研究」を開設しています。生徒や教師自身の教育に対する意識の違いを肌で感じ、グローバルな視点から多様な学校教育のあり方を学ぶことを狙いとしています。

2019年度オランダ訪問 実施内容

ライデン大学ワークショップ参加
ライデン大学ワークショップ参加

2019年度は9月9日(月)~15日(日)、オランダのライデンやデン?ハーグなどの都市を中心に、学生9人教員2人が学校や社会教育施設の訪問および調査を実施しました。
現地では、モンテッソーリ教育(※1)やイエナプラン教育(※2)を行っている学校、そして特徴的な職業教育を行っている学校などを訪問しました。参加した学生は、「子どもたちが主体的に学ぶ姿を目の当たりにし、自分の持っている価値観を見つめ直す貴重なきっかけとなった」と話しました。また、ライデン大学では、大学教員のファシリテーションによるワークショップにも参加し、異なる環境や制度の学校を見るなかで「どんな視点から学びを得ることができるか」などの問いに向き合いました。短時間でしたが、アムステルダム国立美術館も訪問し、オランダの自由な社会を形作ってきた歴史や文化にも触れ、また、日本との関係について実地研究を通して理解し、学びました。
日々の訪問をふまえ、夜にはリフレクションを行いました。それぞれが感じてきたことを持ち寄りじっくりとそれについて対話することを通して、自らの価値観や見方を捉え直す時間となりました。

※1 モンテッソーリ教育:正式名は「子どもの家における幼児教育に適用された科学的教育学の方法」。整然と並ぶ色とりどりの「教具?と呼ばれる木製玩具が目に飛び込んでくる。これらはモンテッソーリの感覚教育法に基づく教材である。(参考:ミネルバ書房 教育用語辞典)
※2 イエナプラン教育:学校は、生活共同体の縮図でなければならないという考え方から、従来の学年別の学級を廃して、低学年?中学年?高学年の3集団に再編成し、児童?生徒は指導的立場と指導される立場を経験しながら集団訓練を基調とする生活共同体として学習をする。(参考:時事通信社教育用語の基礎知識)

【視察先】オランダ
【期間】2019年9月9日(月)~9月15日(日)

■訪問学校等一覧

月日 訪問先等
9月9日(月) 成田空港発 アムステルダム?スキポール空港着
9月10日(火) ダルトンプラン初等学校およびモンテッソーリ初等学校を訪問調査(デン?ハーグ)
9月11日(水) イエナプラン初等学校および農業教育を中心とした中等学校を訪問調査(ライデン)
9月12日(木) 特別支援学校を訪問調査(エメロールト)
9月13日(金) 職業教育を重視した中等学校訪問調査、およびライデン大学においてワークショップに参加(ライデン)
9月14日(土) 社会教育施設訪問調査
アムステルダム?スキポール空港発
9月15日(日) 成田空港着

学生の感想

対話を通して

イエナプラン初等学校(ライデン)
イエナプラン初等学校(ライデン)

訪問先の特別支援学校で生徒の作業学習を参観していたときに違和感を覚えた。確かに教師は生徒のそばにいたが、指示を出したり支援したりしていなかった。よく言えば見守っていた。生徒を信頼して任せていたと言えるが、これは「指導」していないのではないかと感じた。用具の扱い方、手順や安全の確認など、指導できることはたくさんあるはずであった。自身は特別支援学校や特別支援学級での教員経験が長く、特別支援教育の現場における適正な「指導」の在り方に強い思いがあった。
その夜の宿舎でのリフレクションにおいて、この怒りにも似た違和感を告白した。それに対して、次のような見解と正対した。
「子供を『育てる』のではなく、子供は『育つ』のではないか。」
オランダの学校を日本の学校教育の視点(自分の価値観とも言える)で無意識に見ており、ともすると批判的な感想を抱いた。このときのリフレクションを通して、いかに自分の価値観だけで見ていたかに気づかされた。この気づきは、オランダの学校を訪問したから得られたのではなく、仲間と共有した体験を基に「対話」を通して得られたものであった。この経験以来、帰国後も教職大学院の授業の中で自分の価値観が無意識にこびりついていることにふと気づく機会が増え、「対話」を通してそれを乗り越える(自分の価値観にとらわれず、ありのままを見る)面白さが芽生えた。
海外に一定期間行ったことで、他国の学校教育を知ることに没頭できる機会を得られたと同時に、没頭できたからこそ気づきがあったとも言える。かけがえのない経験ができた。

スクールリーダーコース 1年 髙田 裕一

実際に見て、触れて、感じることからの学び

モンテッソーリ初等学校(デン?ハーグ)
モンテッソーリ初等学校(デン?ハーグ)

「良さを感じる」をキーワードに私はオランダへの実習へ出発した。「教育の自由」とても魅力的な響きだった。いくつものプランを実践できる国。いったいどんな環境でどんな子供たちが育っているのだろうか。たくさんの「知りたい」が自分の中で生まれてきた。そして、実際にオランダへ行くにあたりオランダの教育について知るとともに、その良さを感じてくることを目標とした。
目の当たりにしたオランダの教育の中には私の「知りたい」を解決しれくれることが数多くあった。自立に向けての自己決定の力を育てるための系統だった計画、特別な支援を要する子供たちへのさまざまな手立てや保護者との連携など、自分の指導に取り入れたいと思うオランダの教育独自の良さを感じることができた。
しかし、しばらくオランダの教育の良さを目の当たりにしていると、ふと、「これは日本でもやっているな。」「ここは日本の方が優れているかもしれない」という考えも生まれてきた。システム的にはオランダの教育には多様性や幅における良さがある。一方、日本には授業1コマのプランニングや導入、児童を引きつける教材の工夫などの良さがあることに気づかされた。オランダの「良さを感じる」ことを目標としていたが、いつの間にか日本の良さも感じることもできていた。たくさんの共通点も見つけられた。教師の願い、悩み、職場の環境、教師教育において日本もオランダも多くの同じ思いがあることにとても勇気が湧いた。
今回はオランダの中でも特徴のある7つの学校を訪問した。もちろんそれだけでオランダの教育を語ることはできない。また、日本における教育についてもまだまだ知らないことだらけである。しかし、今回実際にオランダへ行き実際に見て、触れて、感じることを通して予想をはるかに超える気づきがあった。多くの気づきが自分の教師としての在り方を考えるきっかけを作ってくれた。オランダ教育の良さ?日本の教育の良さを、自分の良さへとつなげられるようにこれからも積極的に学びを深めていきたい。

スクールリーダーコース 1年 安藤 拓也

過去の海外学校教育視察の様子